こんにちは!
一般社団法人 生産、物流現場カイゼン研究会 中国支店の宇賀です。
https://a.k3r.jp/a_sol/37137C54594E28
今回のテーマは
「トヨタ生産方式の中国での誤解?」です!
中国各地の工場を訪問させていただく中で
中国人経営者の方や、工場長の方と話す機会がありますが
生産関係出身の方でなくても
トヨタ生産方式(以下TPS)を勉強されている方が多く
毎度頭が下がります。
「かんばんを使うんでしょ!」
「ジャストインタイム(必要な時に必要な物を必要なだけ)」
「トヨタは在庫ゼロなんでしょ」
関連書籍もたくさんあり
様々な用語もさることながら
在庫削減、ジャストインタイムを中心として
書かれているものが多いので
トヨタ生産方式=在庫ゼロ、ジャストインタイム
という認識で
だから導入したいんだ!という相談をよく受けます!
おそらくこれが
中国でのTPSの認識で
自ら勉強して、自力でそれを進めようとしたときに
「中国の仕入れ先や物流では
この本に書いてあることはできないよ。。」
「この製品ではジャストインタイムは無理だ。。」
というので
あきらめてしまう
ということが起こるのです。
しかし、
これはすごくもったいなくて
せっかくやる気もあり、
工場を何とかしたいと思って
トヨタのやり方を勉強して
何か変化を起こそうとしたのにもかかわらず
トヨタ生産方式=ジャストインタイム、在庫ゼロ
という誤解のせいで
中国のビジネス環境もあり途中で挫折してしまっているのです。
(ちなみにトヨタでも在庫ゼロではないです。これは日中関わらずよく聞かれます。)
本来のTPSは
経営的な考え方と
ニンベンのついた自働化に支えられているものです。
そこがなければ
テクニックのようにとられてしまい
「中国ではこういう理由でそのテクニックは使えない!」
となって終わってしまうのです。
そうならないように
今回はTPSを簡単に説明していきます。
まず企業の目的は何か?
から始まります。
それは
「お客様に
モノやサービスを提供し利益を上げ、存続し続けること」
やはり良いモノやサービスを作っても
利益が上げられないと、その企業は存続できず
お客様に提供することができなくなってしまいます。
それでは企業としての使命も果たせないので
利益を上げ続けることが大切です。
企業の目的がはっきりした後
利益とは何か?
どう増やすのか?
ということで
① 売値=原価+利益
② 利益=売値−原価
2つの計算式のどちらを目指すか
という問いになります。
トヨタでは
②が採用されており
(①は原価に欲しい利益を乗せて売値は自社で決める)
売値は自社でコントロールできず、お客様が決めるモノ
そして、利益を増やすために自分たちができることは
原価を下げることしかないんだ
というのが
原価低減が仕事と言い切る理由になります。
では
どうやって原価を下げるか?
という問いがあり
それは
ムダを探し、取り除くことの徹底こそが仕事。
と続きます。
後に7つのムダなどに整理され
誰でもムダを認識できるような用語になっていきます。
■正味作業・・・付加価値のある作業
■付加価値のない作業・・・必要な作業
■ムダ・・・不必要な作業
このムダを取り除くことが
原価低減につながり
利益を増やし
企業の目的も達成できる
だから生産を日々することだけではなく
ムダを取ることが仕事なんですよ。
ということが
トヨタ生産方式の基本になります。
そして製造業の仕事の定義を
このTPSの考えに変えていくことが
日中関係なく
TPSを取り入れることの成果です。
その基本的な考え方があったうえで
①ジャストインタイム
→リードタイムの短縮
②ニンベンのついた自働化
→異常があれば止まる、止める
というTPSの2本柱という
原価低減をし続けるための
問題を見つける切り口があります。
この2本柱は
どこまで行っても達成することが難しいあるべき姿であり
これを掲げることで
あるべき姿と現状のギャップ(問題)が生まれ続けている状態となるので
カイゼンの切り口となり、
原価低減がし続けられるという仕組みです。
そしてそれをカイゼンしようとした歴史の中で
かんばんやアンドンというツールが生まれてきたのです。
だから
かんばんが使えないから、在庫がゼロでないから
物流が時間通りでないから
TPS導入に失敗するということではなくて
経営的な考え方に立ち戻り
小さくてもムダを取ることができ
それを仕事として全うし
それが評価されるような経営ができるようになれば
課題の大小はあっても
TPS導入のスタートはできているはずなのです。
そして中国では
②のニンベンのついた自働化を進めることが
ジャストインタイムより重要だと考えています。
(中国のビジネス環境にも左右されにくい)
こちらの
異常というムダを見つけ
カイゼンが新たな仕事として
組織として基本的にできるようになり、
それが評価される状態になった後に、
ジャストインタイム
(リードタイムの短縮)の方に力を入れる
順番となります。
(アマゾンの倉庫オペレーション改善も
ニンベンのついた自働化の考えがまず導入され、
異常、ムダへの対応から考えられてします。)
長々と書いてきましたが
中国でのカイゼン活動を始める際に
TPSの経営的な考え方と
ニンベンのついた自働化の重要性を知ること。
そしてそれを絶えず誤解の無いように伝え、
経営としての制度、
従業員の仕事に組み込むことが
活動を長く続け、企業の文化としていく過程で
必要になるということを書いてきました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
PS
昔から
当たり前になっている仕事の進め方や制度、組織の中では
なかなか変化も起こりません。
どんな会社でも
違う当たり前を持っている人が来たときに
新たな視点、方向に気付くことが初めてできます。
8月はあと2社、
現場無料診断を実施しておりますので
外部の目として使ってくださいね。
また、
中国の製造業で
カイゼン活動が根付かなくてお困りの方は
お気軽ご相談ください。
ありがとうございました!
一般社団法人 生産、物流現場カイゼン研究会 中国支店
現場カイゼンサポートチーム 宇賀 邦人
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この定期カイゼン通信は、生産現場、物流現場で孤軍奮闘されている方へ、また、日本で中国のオペレーションを管理している方へ少しでもお役に立てればと思い、発行させていただいております。我々は、生産現場、物流現場向けの業務カイゼンのためのシステムを製造販売しておりますが、システム導入に限らず皆様のご苦労、問題を解決する事を第一の仕事としております。
コストカイゼンを含めた様々なカイゼン事例がたくさん蓄積されています。その事例を皆さんでシェアすることが、最短距離での解決方法ではないかと思い、ニュースレターを発行しています。お問合わせや、お聞きになりたいことがありましたら、このメールに直接返信して頂いて結構です。
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