2018年5月6日、東京都調布のアミノバイタルフィールドで行われた
日本大学のアメフトチーム「日大フェニックス」と関西学院大学のアメフト
チーム「関西学院ファイターズ」が定期戦を行っていた時に事件は起こった。
日大のディフェンスライン(DL)がプレーの切れた後にも拘らず関学の
クオーターバック(QB)に後ろからタックルをかまされ、タックルされた
関学のQBは全治3週間のケガを負った。
アメフトではプレーが切れた後やパスを投げた直後の選手への無防備な
タックルはルールで禁止されている。
にも拘らずプレーが切れた後少なくとも約2秒後に日大DLが関学の
QBに後ろから全力でタックルをかました。
タックル瞬間の動画を見れば、100㎏級の人間が全力で無防備の
人間の背後から全力でタックルして全治3週間程度で済んだのは
不幸中の幸いに思える。
一般人なら全身麻痺レベルのケガを負っていても何ら不思議ではない。
この日大のDLはこの後交代になった関学のQBにも同じ行為に及ぼうと
するプレーもあり、さらには関学の選手につかみかかるような行為も行い、
結局あのタックルプレーの後の4プレー込みで3つの反則となり退場になった。
数日後、日大側から一向に何の謝罪もないことから5/10に日大に
抗議文 を送付、その2日後には記者会見を開いて日大の行為を
糾弾したため、これほどの大きな騒ぎに発展するに至った。
あらゆるメディアがこの問題を取り上げ、スポーツ庁もコメントをしている
ことから、社会問題レベルにまで押し上げられていると言っても過言ではない。
この問題が発覚して以降、公の場に全く姿を現さなかった日大アメフト部
監督の内田正人は5/19にようやく関西学院に謝罪に赴き、伊丹空港と
羽田空港でマスコミの囲み取材で辞任の意を表明した。
「全て私の責任である」という発言が妙に多かったのが気にかかる人も
かなりいたのではないだろうか。
その発言で全てを片付けようとしているようにも思え、真摯な対応とは
到底呼べない取材だった。
またここまで問題が大きくなるまで公の場に姿を現さなかった後手
後手の対応と、マスコミの質問に対してうやむやな回答をしている
様子から批判の声は増すばかりである。
さらに伊丹空港での囲み取材の様子を御覧になっただろうか?
まずは何の誠意も感じられないお辞儀。
謝罪会見ではないにしろ、もう少し深く長くお辞儀しても良さそうな
ものだがお辞儀時間は約2秒、明らかに短すぎる。
次に服装、ネクタイに着目頂きたくのだが何だか遠目で見ると
ピンクに見えるような明るいネクタイで謝罪を感じる色ではない。
極めつけは関西学院大学の読み方を連呼で間違えるという失態。
関西学院の正しい呼び名は「かんせいがくいんだいがく」。
英文表記では「KWANSEI GAKUIN」。
関西方面以外ではもしかしたら読み方を間違えている人が
いるかもしれないが、日大と関学のアメフト部は昔から好敵手とも
呼ばれる関係だったそう。
そんな相手校の名前を公共の電波を使って間違えて連呼する、
というのはもはや救いようがない、誠意以前の問題であろう。
そしてそんな今回の日大タックル問題において一つのキーポイントと
されているのが『一体どんな経緯でこのような事態を招いたのか』
ということ。
日大側はすでに関学側に5/15に指導陣による意図的は反則
指示があったのではないか、ということについて否定をしているのだが、
関学側が回答が不十分だとして再回答を求めており、それの期限が
5/24になっている。
囲み取材でも内田監督は「5/24の文書で回答します」という
回答で質問を濁していた。
さて今回のこの問題だが、実は以前起こった日本の大企業の
とある事件と似ている部分があるように思える。
その事件とは東芝の粉飾決算(またの名を不正会計)である。
今回の日大の悪質タックルと東芝の「チャレンジ」というキーワードが
酷似しているように思える部分があるのだ。
今回の問題、報道によると日大チームの選手達は「あのプレーは
監督の指示だった」と証言している。
今回タックルした日大の選手はしばらく試合に出ていなかったらしく、
「試合に出場したければ1プレー目でQBを壊してこい」
と言われたらしい。
内田監督も試合直後のスポーツ紙の取材に対して、
「うちは力がないから厳しくプレッシャーをかけている、
あれぐらいやらないと勝てない。やらせている私の責任」
というタックルを容認するかのような発言をしている。
またタックルをした選手がベンチに下がったシーンではコーチや
仲間が「よくやったな」ともとれるようにヘルメットを撫でていたそうだ。
こんなプレーをやった仲間をむしろ褒めるというのが常態化していたと
すれば、集団でかなり異常な状態に陥っていたのではないだろうか。
しかしこれと同じような状態が東芝でも起こっていた。
東芝の不正会計事件の当時、東芝の原子力事業の部長は
利益の水増しに対して達成感を感じていた、罪悪感はなかったと
語っている。
むしろ自分達の部署を守った、会社を守ったとまで感じていたらしい。
今回の日大選手の状態にそっくりではないか。
また内田監督の「あれぐらいやらないと勝てない」という発言だが、
これはあくまで選手を厳しく追い込むための発言であり反則行為を
容認する発言ではない、とあとで撤回するような発言をしている。
対して東芝の「チャレンジ」は社長からの叱咤激励であり、厳しくやれ
という意味であるから粉飾決算をしろとは言っていない、という東芝の
発言と酷似している。
ちなみに東芝のチャレンジについて、例えば利益水増しを第三者
委員会が調査した報告書では期末までの3日間で営業利益を
120億円改善せよ、というまともな手段では到底達成できない
命令に対して翌日の営業利益を119億円にした、と報告している。
このやり取りは東芝の大会議室で行われたにも拘らず誰も異議を
唱えるものがいなかったことからも集団で容認するような心理状態に
陥っていたと考えられるだろう。
あなたは『ミルグラム効果』というのをご存知だろうか?
これは権威のある人間からの命令に対してはモラルなどのハードルが
下がる傾向にある、という効果だそうだ。
上からの圧力とも言い換えることができるだろう。
今回だって一歩間違えれば相手側の今後の人生を全て潰して
いたかもしれないくらいの反則なのに、日大アメフト部はどこか
ほっとした気持ちがあったのだろう。
まさに今回の日大のアメフト部はミニ東芝状態に陥っていたと
言っても過言ではないかもしれない。
では何故このような事態になってしまうのだろう。
これは一重に教育者、上司としての在り方に問題があるの
ではないだろうかと私は考える。
大学スポーツのある側面として大学の看板を背負っている、
名声を高める、という側面がある。
この監督は日大アメフトを強くして大学の名声をもっと向上させる
ことがミッションの一つだと思う。
しかし監督にとってはそのための何百人かいる選手のうちの一人かも
しれないが、選手にとっての監督は一人だけなのである。
会社組織でもそれは同じこと。
自分は組織や部下を背負っているかもしれないが、それを言い訳に
下をないがしろにしてはならない。
部下や組織を持つ人間には部下や組織を構成している人間の
人生を背負っている自覚が絶対に必要なのである。
そのためには部下を持つ人間としての教育が改めて必要なのである。
部下としての働き方と上司としての働き方では見える景色も
必要なスキルも全く異なるのである。
もしあなたの現場に部下を持つ人間がいるのであれば、部下を
持つ者としての働き方をしっかり教育する必要があるではないだろうか。
今回は長くなってしまいましたが、最後まで読んでくださり
本当にありがとうございました!!
P.S.
部下の持つ上司に対しての教育について、以下のような
研修を5/22(火)、23(水)に開催します。
部下の人生を預かる責任ある上司を育成したい方は是非一報ください(このメールに返信くださればOKです)。
一般社団法人 生産、物流現場カイゼン研究会 中国支店
池田 竜貴
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