こんにちは。
カイゼン研究会の宇賀です。
中国に赴任された駐在員の方にとって
「ストレスがたまるなー。。」
「何とかしたいけど、どうにもならんな。。」
という不満がある部分で最も大きな割合を占めるのは部下、社員の能力についてです。
「なんでこうなるの??」
「なんで、できないの??(やらないの)」
指示やアイデアは示したものの、
自分が想像していたアウトプットとはほど遠い報告や結果の連続で、
頭を抱えることが続きます。
しかし、
この上司の期待と部下の能力の違いは国や文化の違いが原因なのでしょうか?
能力が低いと感じる=人材が育っていない
という問題に対して
の順に話していければと思います。
◆日本について
同様の問題は、
日本においても以前から存在しており、
自社の人材育成に満足している
経営者はほんの少数という結果があります。
そして、
そのギャップを解消するために
企業は教育制度という形で人材育成の工夫を
凝らし続けており、試行錯誤の途中です。
最近では、人材育成が
採用する際の魅力や長期的に見た企業業績と
相関関係があると言われています。
どういう試行錯誤をしているかと言うと、
教育の
・内部化
・外部化
です。
内部化は何かというと、
社内のリソースで教育、学習をサポートする仕組みです。
OJTに代表されるような社内の上司、
先輩が主体となって実際の職場、
仕事を実践の場とし、
フィードバックをもらい能力をつけるという形です。
外部化はその名の通り、
社外のスペシャリスト、
教えることを職業としている方
といった社外のリソースを取り入れて
抽象化された基礎の思考法、理論を学び能力の向上を試みるという方法です。
この2つを組み合わせながら社員の能力向上を目指します。
そして日本では主に内部化、
OJTメインの方法がとられてきました。
新卒一括採用、
長期雇用型ということから
入社から昇進していく中で、
先輩、上司とともに昇進ごとに
仕事の内容が変わっていき
その経験をもとに視野が広い人が育つという仕組みです。
もちろん、上司、先輩の育成に対する時間のかけ方ということは
測定していないことがほとんどなので
属人的になってしまうというデメリットはあります。
しかし、それを補うために
直属の上司だけでなく、
他のメンバー、他部署
と仕事を進める機会を作り、
企業としての知を吸収できるように
設計されていることが製造業では多いです。
例でいうと、
QCサークルなどの活動が企業として
設定されていますが、
チームで取り組むことで
直属の上司からでなく他のメンバー、
社内のリソースから仕事を学び
問題解決の考え方を実践する場となっています。
新入社員や中途採用が来ても、
その仕組みの中でまずは業務を進める中で
チームメンバーとともに
標準的な思考や知識を獲得できるように設計されています。
もちろん
チームの能力によって偏りが出ますが、
社員の持っている知識を教え合い
共有する場として機能させようとしています。
現在は雇用体系が崩れていく中で、
専門的な知識の獲得が課題になっていますが、
自己研鑽補助制度など試行錯誤をしているところです。
ほとんどの駐在者の方は、
このように社内リソースを投入し
内部化された人材育成度の下で切磋琢磨し、
実力を磨かれ仕事のノウハウを獲得してきているという背景があります。
社内での標準的な思考を身に着けている状態です。
◆中国について
中国の日系企業を見てみると当然、
日本本社より会社及び教育制度の歴史は短いため
人材育成の内部化の制度が整っているわけではありません。
基本的には
生産や事務処理に必要なポジションのみであることが多いです。
日本のように総合職としていろんな業務を通して、
キャリアップしていくというのは少なく
そのポジションでの業務ができていれば良いという考え方です。
駐在員が数人来たとしても自分の業務で手一杯であり、
教育の内部化、
または外部講師の役割を
担うような設定にはなっていません。
加えて人材も流動的であるという特徴があります。
・育成を内部化するリソースの不足
・人材の流動性
大きくこの2つの理由から
日本のように数年単位での
OJT制度を安定的に回っていくことが難しい環境です。
そこで取られているのが、
ある程度職位が高く、
経営層からの期待がある方=離職する可能性も低い
に向けた選抜制の教育です。
外部の研修を受講したり
日本本社での実践研修に行かせることで
将来のリーダーとして育成することになります。
この方法の問題は「持続性」になります。
日本の内部化、OJTと違い
単発での教育になることが多く
社内に戻った後に、
部下や社内への浸透、共有といった知の共有が
制度、システムになっていることが少なく、
単発で終わってしまう確率が高いということです。
「研修で学習したことが、職場や仕事で役立てられ持続すること」
これを研修転移と呼ぶそうですが
これが促進されるシステムが不足しているということです。
これはなにも選抜者がさぼっていたり
能力が低いという訳ではなく研修移転が促進されるためには
・研修者の上司の支援
・獲得した知識を用いた職場活動の設計
などの
社内に浸透させるための場がある
または場を設計することが必要です。
この要素が研修移転の研究でも影響が大きい項目となっています。
日中間の人材育成の違いを見てきましたが、
内部化された人材育成の下で実力をつけてきた駐在員と、
歴史も浅く社内での教育制度の整っていない中で
業務を遂行してきた現地社員には大きなギャップが存在しています。
そしてそれが冒頭の能力に対する不満につながっています。
個人のやる気や、
能力不足に不満が向きがちですが、
そもそも汎用的なビジネススキル
(ロジカルシンキングや文書、プレゼンの作成などなど)
を教えてもらっていなかったり、
学ぶ機会がないまま来ています。
日本では先輩との業務を通して自然に学んでいたことが、
中国を始めとする海外ではごそっと抜けているイメージです。
なので
数年単位で見ると
ここに対策を打たないと
このギャッをプ解決できないということがわかります。
ではそのギャップを制度でどう埋めていくかを考えていくと
■人材育成の内部化サポート
■持続する場の設計
この2点を考えていく必要があります。
1点目の
■人材育成の内部化サポート
を行う中で中国での問題は教える側のリソース不足です。
解決策としては
・投入する内部リソースを増やす
→駐在員や能力の高い人を獲得してくる。
または、現在のリソースで投入時間を増やす。
・外部のリソースを使用する
→外部講師を使用し
社内の教える側を育て、内部化につなげる
・投入する範囲を狭める
→育成したい人を絞り、
現状のリソースを投入し
少数の教える側を育成する。
大企業においてどんどん売り上げが増えていた時代では
一つ目の解決案がとられており、
トヨタでは工場の班長レベルから
駐在員をどんどん投入するという方法が取られておりました。
しかし、
現在は駐在員を減らす方向に動いており
大多数の企業もそうではないかと思います。
2つ目、3つ目は組み合わせて行うことが多く
最終的には人材育成を内部化するために実施します。
これが人材育成の内部化サポートにおける現状での最適解です。
しかし、
以前ほど会社の売り上げが伸びない中での投資となるので
コスト削減、生産性向上の
社内プロジェクトをしながら育成も進める
という育成と実益と結び付けた投資となります。
その実務の中で、
人材育成の内部化を担える人材を外部の力を借りながら、
育て上げることになります。
2点目の
■持続する場の設計
については社内制度がカギになります。
外部を入れたプロジェクトの中で育成した人材
日本本社研修や外部研修に参加させた人材
これらの人材をプロジェクト単位の実務で終わらせず
その部下、チームを定期的に育成する場を設計することが必要です。
そして社内のQC活動にしても
カイゼン活動にしても
その人材の上司、
同僚駐在員の能力も含めて
その人だけに任せず
会社として持続させる場を作ることが重要です。
場を作ってそこに外部や内部人材を配置し
推進、維持させることが唯一の解ではないでしょうか。
逆に言うと
この2点を解決しない限り
長期的に人材が育つ環境にはならないということなのです。
能力の高い教育熱心な駐在員の方の出現で
短期的に変わる可能性はありますが、
企業としての仕組みにならない限りやはり属人的になり、
元に戻ってしまいます。
ある金属加工会社では
社員またそれを引っ張ってほしいリーダーの
能力、実行力不足を問題としていました。
その問題に対して着任2年目の総経理が
3年間の生産性向上プロジェクトを立ち上げ
重点的に育成したい人を選出しました。
その人材に
次のリーダーとして育成したい人材を挙げてもらい
その要望をもとにプロジェクトチームを組成していきました。
プロジェクトの目的を
単に生産性向上とリーダーの育成にとどまらず、
次のプロジェクトのリーダーの育成まで設計したうえで
開始するというところに特徴がありました。
前半は外部の力も借りながら
リーダーが自分で運営できるようにサポートが必要でしたが、
後半は自分で教えれるようにもなっていき外部が来る頻度もどんどん減っていきました。
3年目には半年に1度ほどの訪問で済むようになり、
3年が過ぎるころには総経理の手も離れ社内のリーダー、
その部下のサポートでプロジェクトを回すようになりました。
総経理が変わった今でも
班長になるとそのプロジェクトに入り
新たなリーダーとともに問題解決を行っていくという
サイクルが回り続けており
人材育成の内部化に成功した事例だと感じます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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